KARTE1周年とウェブ接客のこれから

3月12日でウェブ接客プラットフォーム「KARTE」は1周年を迎えました。

これまでご支援くださった皆様、KARTEを愛用いただいている皆様に感謝申し上げます。

本日KARTE 1st Anniversaryのインフォグラフィック(こちらからご覧ください)を発表いたしました。その中でも触れていますが、初年度のKARTEは非常に順調に成長できたと考えてます。

今回は初年度の実績やどこに注意して進めてきたかなど、簡単に振り返っておきたいと思います。

 

初年度の実績

昨年3月のリリース時点と今年2月末時点の数字を比較してみます。

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まだ最初の一歩ですが、ある程度順調に成長できました。今回発表していませんが、KARTEによる利用企業様の売上リフトアップも相当な額になってきています。少しずつですが、企業様側でのウェブ接客体制も変わりつつある感触を得ています。

 

やってみて感じたこと

事業進捗とともに感じたことがいくつかあります。

1. どの企業にも共通する潜在課題

様々な企業様とのお話を通じて、表現やディティールは違えどもう一段深いところで共通の潜在課題があると感じています。ECか不動産か金融かといったカテゴリによるものではありませんでした。

それは「ウェブサイトではお客さんが見えていない」ということ。サイトヘルスの把握は行っており、それに対して施策も行っている。ただ前述の理由によりそれら取り組みの効果が正当に生み出されていません。感覚的にはPDCAを続けるものの効果が積み上がって行っていないようなイメージです。

2. 「ウェブ接客」というワードの拡散スピード

2014年は「ウェブ接客?何?チャット?」というイメージが多かったですが、2015年はそこに変化が生まれた年でもあります。実際に「ウェブ接客ってなに?」と問うとまだ人によって認識がわかれるフェーズですが、皆さんぼんやりイメージがある。感覚的には、2016〜2017年で活用が本格化し、その後数年かけて上位層から全体へ浸透していくと思います。

3. ウェブ接客のポテンシャルの大きさ

現在のウェブはほとんどの取り組みがセッション評価(その来訪中の成果計上ベース)となっていて、接客は新しい視点の創出やそれらの浸透につながると考えています。例えばLTV(ライフタイムバリュー)などもその1つの視点です。

実際にKARTEの解析データからも、接客がCVRだけでなく、来訪回数(再訪への効果)や購入単価の向上に大きく寄与することが見えてきています。

売上公式

売上公式を上記とした場合、それぞれの指標を10%ずつ改善できれば売上は33%増大します。すでに取り組んでいる集客施策で来訪数を33%伸張させるより難易度は低く、かつサービス体験の本質的な改善でもあるわけです。

導入サイトにおけるウェブ接客のカバレッジ(全体UUに対して接客を受けた経験のあるUU)は拡張余地がまだまだ多分に残されており、今後より重要な取り組みになってきます。市場としても、様々な企業の参入もあって急速に拡大していくと思います。

 

大切なのは自身を見失わないこと

KARTEリリース後の1年、様々試行錯誤しながら進めてきました。

日々実にいろいろなご要望をいただきます。例えば「他社にはこういう機能がある」「解析機能がほしい」「わかりにくい」といった機能面の要望、「全部やってほしい」「とにかく事例がほしい」といった運用面の要望、「競合さんがこう言ってましたよ」「同じ業界の実績がないと」「安くしてほしい」といった営業側面での要望など多岐にわたり、特に営業やサポートなどフロントに立つメンバーはその影響を受けがちであり、額面通りの解決を考えがちです。

ご要望いただけることは本当にありがたいことであり、解決すべき課題です。ただ、お客様に価値を届けるためには、それらのご意見・ご要望を正しく吸収しつつも、「自身を見失わないこと」が一番重要でした。色々な声を抽象化し、なるべく本質的な解決に近づくよう改善し、企業様の期待値を超える。そのあたりの舵取りは満点ではないもののある程度うまくやれたと思っています。

自分たちが最終的にどういう価値を提供したいのか、そこがブレはじめると全てが崩壊します。原点と目的地、これらはいつ何時も忘れてはならないと強く感じました。

1年経った今、KARTEの利用継続率は極めて高い水準で維持できており、ありがたいお言葉をいただくシーンも増えてきました。当初振り向いていただけなかった企業様でのご導入も進んでいて、この順回転を継続していくため全力投球しています。

事業進捗とともに人員数も昨年比で倍の30名を超え、この年末に向けてチームはさらに大きくなります。プレイドの内面を見直すことも、2年目の大きなチャレンジになりそうです。

 

今後どうなる?

我々の定義においてウェブ接客は「お客様を知る(インプット:データ、ナレッジ)」と「お客様にあわせる(アウトプット:手段、コンテンツ)」から構成されます。リアルの店頭での接客をイメージすればわかりやすいですが、お客様をどれだけよく知り理解できるかが接客の起点です。

そしてそれら構成要素は、ものすごいスピードで変化していきます。データは今後ますます多様化していくし、例えばリアルのデータ化も進むでしょう。膨れ上がりつつも、個客の可視化を促進する側面があります。他にも、SNSやメッセージングアプリなど、事業者にとっての顧客接点は今後も増えては消えを繰り返すはずです。

消費におけるパワーバランスが消費者に偏り始めている昨今、「個客」を中心に据えた事業活動は間違いなくキーになってくると考えており、そんな大きくて早い変化に、シンプルに、そして簡単にアジャストできる環境が必要です。

サービス提供者の想いを形にした膨大なコンテンツ(サービスや商品、体験)を、伝えるべき人に伝える。今はナビゲーションとしてサイトに存在するパーツの再考も含めて、人とコンテンツのつながり革命が進んで行くと考えています。いずれ個客軸のマーケティングが、既存のマーケティングと並存するようになり、ECがカタログ型ECから脱却するタイミングもいよいよ到来します。

そしてその実現においては、リアルタイム個客解析がベースになると確信しており、我々はウェブ接客を中心に、引き続きそういった世界観の実現を目指します。

 

仲間も引き続き募集中です。(ご応募はこちら

 

KARTEリリースまでに意識していた3つのこと

3月12日にウェブ接客プラットフォーム「KARTE」をリリースしました。

おかげさまで多くのメディアで紹介いただき、多くの方にシェアしていただきまして、初日だけで100サイト以上にご登録いただきました!簡単登録でスタートできますので、まだの方も是非お試しいただければと思います。

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今回は、昨年7月に初めての資金調達を発表してから半年ちょっと準備してきた中で、特にコレ大事だったなーと思うものを紹介しようと思います。

とても長くなりそうなので、今回は3つに絞ってみました。

1. 人財には先行投資する

よく事業は人がすべてと言いますが、プレイドも人を最重要視して日々事業を進めています。よく「もうそんなにいるの?!」と言われますが、現在社員で17名、インターン生含めて20人ちょっとの体制です。

実は先手先手で種まきを進めてきていて、長いメンバーは2年くらい口説いて口説いてやっとジョインしてくれたメンバーもいたりします。条件は1つだけ。自分より(既存メンバーより)優秀な側面を持った人を採用すること。

通常は事業がある程度進んだ段階で採用を加速し、適宜必要な人材とその人数を確保していくんだと思います。事業と人材のマッチング精度を高めることや、バーンレートを上げすぎないことが主な理由だと思います。

ただ僕らは人財採用をかなり前倒しで進めてきました。目的はいくつかありますが、その中から3つご紹介します。

  • 意思決定の精度を上げる
  • 成長基盤の構築に着手する
  • リリース時点での初速をつくる

なぜそう考え、結果どうだったかを以下簡単に。

  • 意思決定の精度を上げる
    意思決定する過程ではキャッチボールできる環境がとても大切だと考えています。いいアイディアも、よくないアラートのキャッチアップも、リスクヘッジも、一定数のメンバーがいた方が圧倒的に効率的に生まれ、スピードが上がり、結果活動にレバレッジがかかります。

    メンバー間もそうですが、社長である僕やCTOのキャッチボール相手が要所要所にいてくれたことは非常に重要でした。

  • 成長基盤の構築に着手する
    よく起こりがちな問題として、成長過程で経営層がボトルネックになるとか、事業と組織の成長にメンバーが追いつかないとかいったことがあると思います。一度そこに陥ると脱却するまである程度時間を要します。会社及び事業の成長が一番重要なので、僕はなるべく各人に裁量をわたして会社のポテンシャルを最大化していきたいと考えています。任せることは同時に多少のストレスやリスクも発生しますが、事業スピードと将来の成長性を阻害しない強いチーム基盤を構築するため、当初より意識的に進めてきました。

    プレイドでは幸いにも経験豊富な仲間を集まっていることも相まって、しばらくは個がリードする期間が続くとみており、ここについても先手を打っていけそうです。

  • リリース時点の初速をつくる
    KARTEのプレスリリースをご覧いただくとわかりやすいですが、リリース時点でかなり魅力的なクライアント様にお使いいただいており、社内でよく言っていた「垂直立ち上げ」が実現できつつあります。もちろん営業面の話だけではなく、モノとしての魅力はもちろん、リリース後のオペレーション・サポートに必要なサービスレベルの達成においても、人財への先行投資は大きな意味がありました。

このような状況があるからこそ、僕は遠慮なく次へ進むことができます。

売りたいときと買いたいときのタイミングは異なるもの。人財についても動きたいタイミングと来て欲しいタイミングは異なるものだと思います。採用は平均的に3ヶ月はかかると言われていますが、本当にコアを担える優秀な人財は3ヶ月ではまず無理だと思います。

だからこそ普段から動き続け、そのチャンスを逃さない必要があります。採用活動頑張らないとと意識している時点でダメなんだと思います。(めちゃくちゃ自戒を込めて。。プレイドに興味ある方、ぜひご連絡ください!

 

2. いい意味で疑い、精度を高める

事業を進めていると、サービスへの意見や要望、事業推進における意見などいろいろな情報が社外から入ってきます。もちろんそれは人から来るものもあれば、書籍やウェブの記事など多岐に渡ります。

ただ、素直に受け入れすぎると、成功しても失敗してもそこから学ぶ感度が低くなると思ってます。得られる経験が全く変わってくるので、成長スピードも当然変わります。仮説なくして成長なし。スタートアップは人が命なので、初期メンバーの成長スピードが遅いとかなりヤバいです。

僕はもともと人の言うことや本に書いてあることを結構疑うタイプでして、入ってくる情報を自分なりに抽象化して経験とあわせて本質に向かわないと気持ち悪くて仕方ないタイプです。とはいっても「自分を疑うこと」はすごく難しい。

CTOの柴山がよく言うんです。

人は間違える生き物だ

と。

脳科学も学んでいた彼に言われると、なんだか説得力があります。(脳科学と関係なさそうだけど、そこは素直に受け取る…)

本当に必要なのか、なぜそう思うのか、なぜその意見や反応が出るのか、などなど。自分の経験も含めポジティブに疑うことで、意思決定の精度は格段に上がると思います。

そして次の項とあわせることが重要だと思っています。

 

3. わからないことを受け入れる

ポジティブにあきらめるとでも言えばいいでしょうか。いわゆるビジネス経験が豊富だったり頭のいい人は答えを出すことに執着しがちで、あきらめることが苦手です。自分もそういうところがありました。

ただ「わからないことはいくら考えてもわからない」んです。

KARTEを進める中で日々「わからないこと」にブチ当たりまくります。誰もやっていない、全く新しいことの実現を目指しているわけですから当然ですよね。その辺に答えが転がってれば楽なんですがそうもいきません。

「わからない」ことを認める勇気がないと、手段の目的化的なことをしてしまったり、軸のズレた仮説を置いてしまったりします。そして質の低い間違いが起こる。いわゆる学びの少ない間違いです。

わからないことを延々と考えるよりも、早々に降参してとりあえず動いて確かめる。そしてその後の「軌道修正のスピード」をマックスまで高めることが何より重要だと思っています。それが精度とスピードを上げるひとつのポイントじゃないかと。とか言いつつたまにやっちゃうんですが…。

 

言うは易く行うは難し。これからも精進します。

 

 

今回あげた3つはリリースまでに限って重要なことではなく、これからも重要なポイントばかりだと思います。どうすれば正しいか、という方法論に正解はないと思うし、会社や事業、組織によってもベストプラクティスは異なるのかもしれません。

ただ少なくともプレイドの事業運営においては上記3つが大切であると考えており、そこがリリース時点で体感できていることは非常に大きいと感じています。